時間外対応体制加算とは?令和8年度改定の点数・区分と、似た加算との違い
令和8年度診療報酬改定で「時間外対応加算」は「時間外対応体制加算」へ名称が変わり、全区分で点数が引き上げられました。加算1〜4の施設基準、時間外等加算・夜間早朝加算との違い、届出の要点、AI電話で時間外の体制をどう組むかを整理します。
この記事の要点
- 01時間外対応体制加算は、時間外に電話等で対応できる体制を評価する。件数や実績ではなく、体制と周知が要件
- 02令和8年度改定で名称が変わり、加算1は7点、加算2は5点、加算3は4点、加算4は2点。対象は再診患者で届出が必要
- 03時間外等加算(時間外・休日・深夜)と夜間・早朝加算は別物。評価対象が違うため、要件を満たせば併算定できる
- 04出られない時間の一次受け、録音・要約通知、折り返し導線、休診日の救急案内が、区分ごとの運用の要点になる
時間外対応体制加算とは
時間外対応体制加算は、診療時間外でも患者からの電話等に対応できる体制を整えている診療所を評価する加算です。夜間や休日に「実際に何件出たか」ではなく、相談できる体制があることと、その内容を患者へ周知していることが要件になります。

対象は再診患者です。初診は対象外です。電話等による再診(治療上の意見を求めて指示した場合)でも算定できます。
令和8年度(2026年度)診療報酬改定で、従来の「時間外対応加算」から「時間外対応体制加算」へ名称が変わり、全区分で点数が引き上げられました。2026年6月1日から新しい名称と点数が適用されます。
似た名前の加算との違い
クリニックの時間外まわりには、名前が似た算定が3つあります。混同しやすいので、先に分けておきます。
| 項目 | 時間外対応体制加算 | 時間外等加算 | 夜間・早朝加算 |
|---|---|---|---|
| 評価の対象 | 時間外の問い合わせ対応体制 | 時間外・休日・深夜に行った実際の診療 | 標榜時間内の夜間・早朝帯の診療 |
| 算定タイミング | 再診時 | 時間外・休日・深夜に診療したとき | 対象時間帯に受付したとき |
| 届出 | 必要 | 不要(算定要件を満たせば可) | 原則不要 |
| 対象 | 診療所の再診患者 | 初診・再診(点数は異なる) | 診療所(病院は対象外) |
時間外対応体制加算と時間外等加算は、評価内容が違うため、要件を満たせば併算定できます。
時間外等加算(時間外・休日・深夜)
医療機関が標榜する診療時間以外に、患者の希望で緊急を要する診察を行ったときに算定します。時間帯は次の3つに分かれ、重複する場合は点数が高くなる側を取ります。
- 時間外加算: 標榜する診療時間以外(休日加算・深夜加算の対象時間は除く)
- 深夜加算: 22時から翌朝6時
- 休日加算: 日曜日、国民の祝日、年末年始(12月29日〜1月3日)
ポイントは3つです。標榜していない時間で診療体制が解かれていること。判定は診察開始や会計ではなく受付時間であること。医師から来院を促した予約診療や、明らかに急を要さない処方依頼は対象外であることです。混雑で標榜終了後まで残った患者は、「体制が解かれている状態」ではないため、時間外加算の対象にはなりません。
夜間・早朝加算
標榜している診療時間のうち、夜間・早朝の時間帯に初診または再診を行ったときに算定します。初診・再診を問わず所定点数に50点を加算します。対象時間帯は次のとおりです。
- 平日: 6時〜8時、18時〜22時
- 土曜日: 6時〜8時、12時〜22時
- 休日: 6時〜22時(日曜・祝日、12月29日〜1月3日)
原則として1週あたりの診療時間が合計30時間以上であること、という施設基準があります。予防接種や乳幼児健診の専用時間も診療時間に含められます。届出は原則不要です。18時までに受付し、混雑で診察が18時以降になった場合は算定できません。
令和8年度改定後の点数

時間外対応体制加算の点数は、全区分で次のように変わりました。
| 項目 | 改定前 | 改定後(2026年6月〜) |
|---|---|---|
| 時間外対応体制加算1 | 5点 | 7点 |
| 時間外対応体制加算2 | 4点 | 5点 |
| 時間外対応体制加算3 | 3点 | 4点 |
| 時間外対応体制加算4 | 1点 | 2点 |
加算1〜4のいずれを取る場合も、次の事項が共通して求められます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 患者への周知 | 緊急時の対応体制や連絡先を、院内掲示・文書配布・診察券への記載などで周知する |
| 緊急時の対応 | 電話等の結果、緊急対応が必要と判断したら、外来診療・往診・他医療機関との連携・緊急搬送など、医学的に必要な対応を行う |
| 電話等による再診 | 治療上の意見を求めて指示した場合でも算定可能 |
区分ごとの施設基準
各区分に共通して、継続受診患者への電話等対応と、出られなかった場合のコールバック体制が求められます。そのうえで、対応者・時間帯・留守番電話の扱いが分かれます。
加算1(7点)
継続受診患者からの問い合わせに、原則として当該診療所の常勤の医師・看護職員・事務職員等が常時(24時間)対応できる体制です。週3日以上かつ週22時間以上勤務する非常勤職員で常時対応できる場合は、基準を満たすものとみなせます。やむを得ず出られなかった場合は、速やかにコールバックできる体制が必要です。
加算2(5点)
常勤ではなく、当該診療所の非常勤の医師・看護職員・事務職員等が常時対応できる体制です。必要に応じて診療録を閲覧できること、出られなかった場合の速やかなコールバックも求められます。常勤の夜間当番を組みにくい診療所向けの区分です。
加算3(4点)
標榜時間外の夜間の数時間について、原則として当該診療所の常勤職員(一定要件の非常勤でも可)が対応できる体制です。標榜時間内やその夜間帯に出られなかった場合のコールバックも必要です。休診日・深夜・休日等は、留守番電話等で地域の救急医療機関等の連絡先を案内するなど、対応に配慮します。
加算4(2点)
複数の診療所が連携して対応する体制です。連携する診療所は当該診療所を含め最大3つまでです。当番日は、標榜時間外の夜間の数時間は原則として当該診療所で対応し、出られなかった場合のコールバックも必要です。当番日以外、深夜、休日等は、留守番電話等で当番診療所や救急医療機関の連絡先を案内します。
どの区分を選ぶか
対応時間帯から考えると整理しやすいです。
| 区分 | 対応時間帯 | 対応者 | 向いている体制 |
|---|---|---|---|
| 加算1 | 24時間 | 常勤(一定の非常勤も可) | 自院で常時対応できる |
| 加算2 | 24時間 | 非常勤 | 常勤の夜間当番が難しい |
| 加算3 | 夜間の数時間 | 常勤(一定の非常勤も可) | 診療後の数時間だけ人が出られる |
| 加算4 | 輪番 | 連携先を含む | 単独では時間外を持てない |
24時間の問い合わせ対応を組めるなら加算1または加算2、診療後の数時間だけなら加算3、複数院で負担を分けるなら加算4、という見立てになります。
運用で詰まりやすい点

届出の前に、電話の受け方を決めておく必要があります。
再診以外をどう制御するか。 代表番号を院長携帯へ転送すると、かかりつけ患者だけでなく新患や営業電話も入ります。時間外は再診患者だけを残す振り分け(診察券の有無、用件の確認など)が、負担を抑える設計になります。
複数担当者への取り次ぎ。 医師だけでなく看護師や事務も含める場合、曜日・時間帯ごとの担当と、出られなかったあとの次の連絡先を決めておきます。
加算3・4の救急案内。 休診日・深夜・休日は、留守番電話等で地域の救急医療機関等の連絡先を案内する配慮が施設基準にあります。聞き取れないケースもあるため、音声案内だけでなく、必要ならSMSや折り返し用の記録も検討します。
対応履歴の記録は必須ではありませんが、個別指導やトラブルに備えて、着信・対応内容・折り返しの有無を残しておくのが実務的です。
届出
区分と院内体制が固まったら、管轄の地方厚生(支)局へ施設基準を届け出ます。使うのは「様式2(時間外対応体制加算の施設基準に係る届出書添付書類)」です。オンライン届出に対応している局もあります。提出前に、最新の様式と提出方法を各局の案内で確認してください。
AI電話で時間外の体制を組む
加算は「人が24時間受話器を取り続けること」そのものを評価しているわけではありません。出られなかった場合に速やかに折り返せること、休診日に案内できること、患者へ周知していることが、区分ごとの実務になります。
Bellは、クリニックの既存番号のまま、時間帯ごとに受け方を切り替えられます。
- 人が出られる夜間帯は転送、出られない時間はAIが一次受け
- 通話を録音し、要約してスタッフへ即時通知する
- 緊急度の高い用件だけ折り返し、予約・案内は翌診療時間に回す
- 再診と新規・営業を会話で振り分ける
- 加算3・4向けに、休診日・深夜は救急医療機関の連絡先を案内する
- 曜日・時間帯ごとの担当者へ取り次ぐ
時間外対応体制加算は、地域包括診療加算などの届出条件の一つにもなり得ます。起点としての意味は大きい一方、Bellの導入が算定を保証するものではありません。 施設基準の解釈と届出は、最新の告示・通知と管轄局の案内に従ってください。
時間外の電話をBellで受けている事例
加算の体制は、現場の受け方とセットで考えると具体になります。時間外の予約取りこぼしを減らしたクリニックの事例です。
えんさこ医院(岡山県倉敷市)
Web予約を使えない高齢の患者さん向けに、診療時間外の予約電話をAIが受け、予約システムへ登録まで完結しています。「予約まで取ってくれるAI電話は、他になかった」というのが導入の決め手でした。
小児科・眼科など診療科別の電話設計は、小児科の朝の受付ラッシュ、眼科クリニックの電話対応でも扱っています。クリニック全体の機能は、クリニック向けAI電話にまとめています。
導入チェックリスト
導入ステップ
区分を決める
24時間対応か、夜間の数時間か、診療所連携か。対応者と時間帯から加算1〜4を選びます。
受け方を設計する
人が出る時間、AIが一次受けする時間、折り返しの判断基準、休診日の案内をシナリオに落とします。
周知と記録を整える
院内掲示・文書・診察券の記載と、通話履歴・対応内容の残し方を決めます。
届け出る
様式2で体制を申告し、管轄の地方厚生(支)局へ提出します。
よくある質問
01時間外対応体制加算と時間外等加算の違いは何ですか?
時間外対応体制加算は、診療時間外に電話等で相談できる体制そのものを評価します。時間外等加算(時間外加算・休日加算・深夜加算)は、実際に時間外・休日・深夜に診療を行ったときに算定する加算です。評価対象が異なるため、要件を満たせば併算定できます。
02令和8年度改定で点数はどう変わりましたか?
2026年6月施行の改定で、加算1は5点から7点、加算2は4点から5点、加算3は3点から4点、加算4は1点から2点へ引き上げられました。名称も「時間外対応加算」から「時間外対応体制加算」に変わっています。
03初診患者にも算定できますか?
対象は再診患者です。初診は対象外です。時間外の電話を受ける運用では、かかりつけ(再診)患者と新規・営業電話をどう分けるかが実務上の論点になります。
04AI電話だけで加算1を取れますか?
加算の可否は施設基準と地方厚生局への届出によります。AI電話は一次受け、録音・要約、スタッフへの即時通知、折り返し判断の材料づくりを支援しますが、常勤・非常勤の対応体制やコールバック体制そのものを代替するものではありません。最新の告示・通知を確認のうえご判断ください。
05届出は必要ですか?
時間外対応体制加算は届出が必要です。様式2(時間外対応体制加算の施設基準に係る届出書添付書類)を使い、管轄の地方厚生(支)局へ提出します。夜間・早朝加算は原則として届出不要です。
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寺下 昇希
Bell 技術責任者
Bellの技術責任者として、AI電話システムの設計・導入・改善に携わっています。現場の電話業務課題を、実務に耐える会話設計とシステム連携で解く知見を発信しています。
- AI電話プロダクトの設計・実装を統括
- 業種別シナリオ設計と運用改善を多数支援
