「9時と同時に殺到する予約電話を、AIがすべて受け止めてくれる」——1件6分の電話対応を1分に。知多半島総合医療センターが取り組む予約受付のDX
知多半島総合医療センター / 四方 様(総合予約センター)
·読了 8分

CUSTOMER STORY
紹介状予約の電話を、AIが24時間受け付ける
紹介状を持つ初診患者さんの予約電話が、受付開始の9時と同時に殺到する——。知多半島総合医療センター(愛知県半田市)の総合予約センターが抱えていた「つながらない電話」と予約の取りこぼしという課題を、BellのAI電話がどう変えたのか。導入から数か月が経った現場の声をお聞きしました。
この事例の要点
- 01紹介状を持つ初診予約の電話をAIが24時間一次受付し、9時の入電集中による「つながらない」と予約の取りこぼしを解消
- 02スタッフの通話時間は1件あたり約6分から約1〜2分に短縮。電話待機による業務の中断もなくなった
- 03現場の要望に応じたチューニングと、通話するほど賢くなるナレッジ提案機能で、運用しながら精度を継続改善
知多半島総合医療センターの風景
AT A GLANCE
「9時と同時に殺到していた電話を、今はすべてAIが受け止めてくれている」
2025年4月に開院した知多半島総合医療センター。紹介状を持つ初診患者さんの予約を受け付ける総合予約センターでは、受付開始の9時と同時に電話が集中し、「つながらない」というお声や予約の取りこぼしが課題となっていました。Bell導入後、電話対応の現場はどう変わったのか。運用を担う総合予約センターの皆さまに、素直な声をお聞きしました。
導入前の課題——「9時になると一斉に電話が鳴り、"つながらない"というお声に」
——まず、導入前はどのような状況だったのでしょうか。
もともと予約電話の受付は9時からとご案内していたので、9時になると同時に一斉に電話がかかってきて、「つながらない」というお声につながっていました。同時に2回線、3回線、多いときは4回線の着信が常に発生していて、集計を見ると「これは取りこぼしていたんだな」というのが分かる状態でした。中には、電話がつながらないからと直接来院された患者さんもいらっしゃったんです。
——1件の電話対応には、どのくらい時間がかかっていましたか?
導入前に職員ごとに計測してみたところ、1件あたり平均6〜8分ほど。長いものでは15分かかることもありました。紹介元の医療機関名、担当医、診療科、ご希望日……と、「はじめまして」からすべてを聞き取る必要があったので、どうしても時間がかかります。さらに、電話はいつ鳴るか分からないので、鳴るたびに事務作業が中断されてしまう。この「待機のストレス」も現場としては大きな負担でした。

運用の仕組み——「AIが24時間一次受付し、スタッフが折り返して予約を確定する」
——現在は、どのような流れで運用されているのでしょうか。
まず、かかってきた電話はAIが一次受付して、紹介元の医療機関名や担当医、診療科、ご希望日などを聞き取ってくれます。私たちはその内容と、クリニックからいただいている事前情報を電話をかける前に照らし合わせておいて、折り返しのお電話では患者さんの特定と予約の確定だけを行う。「受付にてお伺いした内容で、この日にお取りしますね」という確認がメインなので、1本の電話がとても短く済むようになりました。
以前は「こちら医療センターです、はじめまして」からのスタートでしたから、そこが大きく変わりましたね。スタッフには「AIが聞いたことはもう聞かない。せっかく導入したんだから」と徹底しています。
——運用しながら見直した点はありますか?
予約の変更やキャンセルは、通話がどうしても長くなりがちなんです。そこで、当日の変更・キャンセルでない限りは、AIが情報だけお預かりして、こちらから折り返す運用に切り替えました。急ぎではないご用件はこちらのタイミングでかけ直した方が、通話も短く済みますし、費用も抑えられる。運用しながら、こうした調整を重ねています。
導入後の変化——「6分かかっていた電話が、1〜2分で終わるようになった」
——導入後、数字にはどのような変化がありましたか?
スタッフが1件の予約に費やす通話時間は、平均6分ほどだったのが、1〜2分で終わるケースが増えてきました。AIが必要な情報を先に聞き取ってくれている分、こちらが実際に電話をしなければいけない時間は明らかに減少傾向にあります。まだ職員の習熟度によってばらつきはありますが、全員が業務の流れに慣れてくれば、この時間に揃っていくと思っています。
それから、受付自体が24時間できるようになったことも大きいですね。今まではどうしても平日の日中しか受け付けられなかったのが、朝8時台や16時以降、夜間の入電もちらほら増えてきています。患者さんにとっても「とりあえず希望を伝えられた」という形が残るのはメリットだと思います。取りこぼしの「漏れ」は、なくなりました。
——現場の働き方の面ではいかがでしょうか。
一番のメリットは、「この時間帯はAIにお任せする」という選択ができるようになったことです。いつ鳴るか分からない電話をずっと待ちながら事務作業をする、そして鳴るたびに10分近く拘束される——というのがなくなった。電話で作業が中断されなくなったことは、スタッフみんなが「とても助かった」と言っているところです。

運用してこその発見——「"和暦"が分からない世代もいる。一つずつチューニングで改善」
——運用の中で見えてきた課題はありますか?
生年月日の確認です。最初は西暦でお聞きしていたのですが、昭和◯年と和暦で答える方が多くてAIが混乱するケースがあり、和暦に統一しました。ところが今度は、「和暦」という言葉がピンとこない世代が一定数いらっしゃることが分かった。若い患者さんがそこでつまずいてしまうんです。こうした気づきをその都度お伝えしています。
※取材後にチューニングを実施し、現在は西暦で答えても和暦で答えても対応できるようになっています。
また、ご高齢の方や通話環境によっては、どうしても会話がうまく成立しないケースが何回かに一度は発生します。そういうときのために、通話の途中でスタッフに転送できる機能や、会話の精度がもう少し上がるとさらにありがたいですね。こうした要望はその都度Bellさんにお伝えしているのですが、必要な機能の実装やチューニングをすぐに行ってもらえるので、とても助かっています。
※取材後、会話の途中でオペレーター(スタッフ)へ引き継げる転送機能を実装済みです。あわせて、継続的なチューニングにより会話の認識精度も向上しており、会話がうまく成立しにくいケースは着実に減っています。
——管理画面はどのように活用されていますか?
通話の様子はリアルタイムでも見られますし、集計もワンクリックで出せるので、毎月の振り返りに使っています。電話がかかってくるたびに患者さんのお名前を登録するようにしているので、2回目以降のお電話は「この方だな」とすぐ分かる。それから、AIが答えられなかった内容をもとに「こういうナレッジを追加してはどうか」とAI自身が提案してくれる機能が入ったので、通話するほど賢くなっていく。翌日に通話を見返して「この回答は良くなかったな」というものを登録していく運用が回り始めています。
※Bellでは、通話内容をもとにAIが学習すべきナレッジを自動で提案する機能を提供しています。承認・修正しながら運用いただくことで、通話を重ねるほど応対精度が向上します。
今後の展望——「予約センターで積み上げた実績を、代表電話にも広げたい」
——今後、活用を広げていきたい領域はありますか?
病院の代表電話も「つながらない」というお声が多く、電話交換手がその都度転送していても追いつかない状況があります。予約センターと同じように、AIが一次受付して、担当から折り返す「交通整理」として代表電話にも使えないかと考えています。予約センターでうまくいったシナリオと実績を積み上げて、来年度の展開につなげていきたいですね。
知多半島総合医療センターがBellで実現したこと
- 01紹介状を持つ初診予約の電話をAIが24時間一次受付し、9時の入電集中による「つながらない」と予約の取りこぼしを解消
- 02スタッフの通話時間は1件あたり約6分から約1〜2分に短縮。電話待機による業務の中断もなくなった
- 03現場の要望に応じたチューニングと、通話するほど賢くなるナレッジ提案機能で、運用しながら精度を継続改善
関連コンテンツ
ほかの導入事例
病院概要

- 名称
- 地方独立行政法人知多半島総合医療機構 知多半島総合医療センター
- 総合予約センター
- 四方 様
- 所在地
- 愛知県半田市横山町192番地
- 開院
- 2025年4月
- 病床数
- 416床
- 特徴
- 救命救急センター・ドクターヘリを備えた三次救急医療機関・地域の災害拠点病院
- Bellの利用範囲
- 総合予約センターにおける紹介状初診予約の一次受付(24時間)