DX・AI活用

DX推進の盲点は『電話』だった。AI音声認識が変える業務効率化の新常識

寺下 昇希Bell 技術責任者読了 8

DXを進める企業が見落としがちな電話業務。AI音声認識を活用した電話自動対応(ボイスボット)がどのように業務効率化とDX推進に貢献するのか、最新市場データと具体的な導入事例を交えて解説します。Bell AI Callで電話対応を丸ごとAIに任せる方法も紹介。

「DXを進めている」と言いながら、電話対応だけは昔のまま——そんな企業が思いのほか多い。

ペーパーレス化、クラウド移行、チャットツールの導入……様々な施策を打っても、毎日何十本もかかってくる電話に担当者が縛られる構図は変わらない。実は「電話」こそが、DX推進の最後の壁になっているケースが増えている。

この記事では、AI音声認識を活用した電話自動対応がなぜ今注目されているのか、導入によってどんな変化が起きるのかを、最新データと事例を交えながら解説する。


電話対応がDXの「穴」になっている現実

多くの企業が業務デジタル化を進める中で、電話対応だけは依然として人海戦術に頼り続けている。その背景には、いくつかの構造的な課題がある。

問い合わせの大半は定型的 「営業時間は何時ですか?」「予約を変更したい」「注文の進捗を確認したい」——こうした定型的な問い合わせが、電話対応全体の50〜70%を占めるという調査結果がある。にもかかわらず、これらすべてに人が対応している。

対応できる時間帯に制限がある チャットやメールなら24時間受け付けられるが、電話は営業時間内しか対応できないのが一般的だ。「電話がつながらない」という顧客体験の悪化が、離脱や不満につながっている。

スタッフの"本業"を圧迫する 受付スタッフや担当者が電話対応に追われ、本来やるべき業務に集中できない。人手不足が深刻な中小企業ほど、この問題は顕著だ。

こうした課題を解決する手段として、いま急速に注目を集めているのがAI音声認識を活用した電話自動対応——ボイスボットだ。


従来のIVRとAI電話、何が違うのか

「自動音声応答」と聞くと、「〇〇については1番、△△については2番……」という古典的なプッシュボタン式IVRを思い浮かべる人も多い。しかし、AI音声認識を組み込んだ現代の電話自動対応は、まったく別物だ。

項目従来型IVRAI音声認識型
操作方法番号を押す自然な会話
対応できる内容メニュー選択のみ自由な問い合わせ
顧客体験煩雑・ストレスあり会話形式でスムーズ
柔軟性低い(台本通り)高い(文脈理解)
連携限定的予約・注文システムと連携可

従来型IVRでは「最後まで選択肢を聞かないと次に進めない」「当てはまる番号がない」といった不満がつきものだった。AI音声認識型なら、「予約を明日の3時に変えたい」と話しかけるだけで、AIが内容を理解して処理してくれる。顧客にとっての使い勝手が、根本的に違う。


急拡大するボイスボット市場——最新データで見る現状

AI電話自動対応の市場は、今まさに急成長フェーズにある。

国内のボイスボット市場は2023年度に前年比85%増の37億円に達した。2029年度には191億円(2023年比5倍超)に達すると予測されており、企業の関心が急速に高まっていることがわかる。

グローバルに目を向けると、IVR市場全体は2025年に約59億ドル規模に達し、2030年には81億9,000万ドルに拡大する見込み(CAGR 6.7%)だ。クラウド型サービスの普及とAI技術の進化が、この成長を後押ししている。

「様子を見ていた」企業が一斉に導入へ踏み切り始めた今が、導入を検討する絶好のタイミングと言えるかもしれない。


導入事例:実際にどれだけ変わるのか

数字で語るのが一番説得力を持つ。実際に導入した企業の事例を見てみよう。

アソビュー株式会社:電話自動化率70%超を達成

遊び・体験予約サービスを運営するアソビュー社では、ログイン方法・ポイント利用・キャンセル手続きといった頻出の問い合わせを自動対応化。導入から1ヶ月で自動化率が50%を超え、最終的には70%超の日も出るようになった。顧客がつながりやすくなり、スタッフは複雑な対応に集中できる体制が整った。

SBI生命保険株式会社:年間300時間の削減を実現

書類再発行手続きの対応にボイスボットを導入。処理時間を約70%削減し、年間でおよそ300時間(2人月相当)の工数削減を達成した。定型業務をAIに移管することで、人員をより付加価値の高い業務に振り向けられるようになった。

株式会社クレディセゾン:有人対応を8割削減

用件に応じた部署振り分けをAIが担うことで、有人対応が必要な電話を8割削減することに成功。オペレーター不足の解消と、顧客を待たせない体制の両立を実現した。

飲食チェーン:営業電話を95%カット

AI電話代行の活用により、業務に無関係な営業電話を95%カット。スタッフが実際の顧客対応に専念できる環境を作った。

これらの事例に共通するのは「定型的な対応をAIに任せ、人は人にしかできない仕事に集中する」という発想の転換だ。


Bell AI Callが実現する電話DX

Bell AI Callは、AIがすべての電話に対応するAI電話代行サービスだ。

AIが直接電話を受け、問い合わせ内容を理解して回答する。AIで完結できる問い合わせはそのまま処理し、対応が難しいケースは2つの対応モードに切り替えられる。

折り返し案内モード 「担当者からご連絡します」と案内して終話し、通話内容のサマリーを担当者にリアルタイムで共有する。担当者は要点を把握した状態で折り返せるため、対応がスムーズになる。

有人転送モード AIが対応できないと判断した場合、その場で担当者に転送する。転送時には通話内容の要約が担当者に届くので、最初から状況を説明し直す手間が省ける。

このしくみにより、「電話を人が最初から受ける」という前提そのものをなくすことができる。業種を問わず、電話対応の負荷を大幅に削減できる。


AI電話対応が特に効果を発揮するシーン

AI電話自動対応は、次のようなシーンで特に高い効果を発揮する。

定型問い合わせが多い業種 飲食・小売・不動産・医療機関・美容院など、「営業時間」「予約確認」「アクセス」などの問い合わせが集中する業種では、即座に効果が出やすい。

夜間・休日の問い合わせが発生する業種 宿泊・観光・ECサイトなど、24時間問い合わせが来る環境では、AIによる自動対応が顧客満足度の向上に直結する。

スタッフが少ない中小企業・スモールビジネス 少人数で多数の電話をさばかなければならない現場では、AIが「常にそこにいる受付担当者」として機能する。

コールセンター・カスタマーサポート部門 すべての着信対応をAIに任せることで、オペレーターの稼働を高付加価値な対応に集中させることができる。


電話DXを成功させるための3つのポイント

AI電話自動対応の導入を検討する際、押さえておきたいポイントを3つ紹介する。

1. まず「どの電話をAIに任せるか」を整理する すべての電話をいきなり自動化しようとすると混乱が生じる。最初に「頻出する問い合わせ」「定型的なやりとり」を洗い出し、そこから自動化を始めるのが成功への近道だ。

2. 既存の業務システムとの連携を確認する 予約システムや顧客管理ツールとの連携ができると、AIが顧客情報を照合しながら対応できるようになり、精度が上がる。導入前に連携可否を確認しておこう。

3. 「AIが断ったあと」の動線を設計する AIが対応できなかった問い合わせをどう扱うか——折り返し案内にするのか、有人転送にするのかを事前に設計しておくことで、顧客体験を損なわない運用ができる。


よくある質問

Q. 難しい問い合わせにも対応できますか?

A. AIがすべての問い合わせを完全解決できるわけではありませんが、AIで対応できないケースは「折り返し案内」または「有人転送」に切り替えられます。Bell AI Callでは、AIが対応しきれなかった通話内容のサマリーをリアルタイムで担当者に共有するため、引き継ぎもスムーズです。

Q. 導入前に業務の棚卸しが必要ですか?

A. 大がかりな棚卸しは不要です。「よくある問い合わせ」をリストアップするだけで始められます。運用しながら学習が進み、対応精度が上がっていく設計になっています。

Q. 中小企業でも導入できますか?

A. はい。電話対応に専任スタッフを配置するリソースがない中小企業こそ、AI電話代行の効果が大きいです。スタッフの負担を減らしながら、顧客への対応品質を維持・向上させることができます。


まとめ

  • DXを進める企業でも、電話対応だけが旧来の人海戦術のままになっているケースが多い
  • AI音声認識型の電話自動対応は、従来型IVRとは異なり自然な会話で対応できる
  • 国内ボイスボット市場は2023年比5倍超(2029年)の成長が予測されており、導入機運が高まっている
  • アソビュー・SBI生命・クレディセゾンなどの事例では、電話自動化率70%超・処理時間70%削減などの成果が出ている
  • Bell AI Callを活用すれば、「折り返し案内」「有人転送」の2モードで電話対応を丸ごとAIに任せる体制を構築できる

電話対応をAIに任せることは、単なるコスト削減ではない。スタッフが本来の仕事に集中できる環境を作り、顧客体験を向上させる——それがAI電話自動対応が生み出す本質的な価値だ。


Bell AI Callへのお問い合わせ

「電話対応に追われて本業に集中できない」「夜間・休日の問い合わせに対応できていない」——そうした課題を抱える企業に向けて、Bell AI Callは電話対応をまるごとAIで完結させる仕組みを提供しています。

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寺下 昇希

寺下 昇希

Bell 技術責任者

Bellの技術責任者として、AI電話システムの設計・導入・改善に携わっています。現場の電話業務課題を、実務に耐える会話設計とシステム連携で解く知見を発信しています。

  • AI電話プロダクトの設計・実装を統括
  • 業種別シナリオ設計と運用改善を多数支援
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