介護施設のAI電話対応|面会受付・家族照合・夜間の引き継ぎ設計
介護施設で面会予約と入居者の状態確認を分ける方法を解説。家族の照合、回答できる情報、夜勤帯の連絡順、担当者不応答時の対応、導入後の確認項目を整理します。
介護施設の電話には、面会の予定を決めたい連絡と、入居者の体調や生活の様子を知りたい連絡が混在します。職員がケアをしている時間帯に同じ電話が何度も鳴ると負担になりますが、すべてを伝言に回せば家族の不安や大切な連絡を置き去りにしてしまいます。
AI電話の役割は、面会などの事務受付を進めながら、状態の説明や判断が必要な用件を担当職員へ渡すことです。特に家族の照合と夜勤帯の連絡順を決めると、導入後に誰が何をするかが明確になります。以下は仮定に基づく運用例であり、Bellの顧客事例や効果実績ではありません。
面会予約と「今どうしているか」を別の用件にする
面会の受付では、希望日時、人数、連絡先などを聞き、施設が定めた条件に沿って予定を調整します。これに対して「今日は食事を取れたか」「体調は落ち着いているか」は、個別の記録を確認し、説明してよい相手か判断する必要がある問い合わせです。一般的な施設案内と同じFAQに入れないようにします。
| 用件 | AIによる受付の例 | 職員へ渡す部分 |
|---|---|---|
| 面会時間・アクセス | 最新の公開ルールを案内 | 個別事情による例外の承認 |
| 面会予約・変更 | 希望日時と必要事項を聞く | 枠の確定、特別な面会条件の確認 |
| 入居者の状態確認 | 誰への連絡か、質問があること、連絡先を受け付ける | 本人・家族関係の確認、状態の説明 |
| 医療機関・ケアマネからの連絡 | 所属、担当者名、対象者、連絡目的を整理 | 内容の確認と専門職間の連絡 |
| 夜間の急ぎの連絡 | 施設が定めた専用経路への取次 | 緊急性や対応内容の判断 |
同じ家族からの電話でも、用件によって確認の厳密さが変わります。面会時間という公開情報を聞く人に入居者の詳しい情報を求める必要はありません。一方、名前と続柄を言っただけで体調を回答する運用も避けます。目的に応じた確認が、情報を守りながら電話を長引かせないための基本です。
家族の照合は「知っている情報が多いか」だけで決めない
施設には、家族の氏名、連絡先、連絡順位、情報提供に関する本人の意向など、既存の取り決めがあります。電話受付ではその取り決めを基準にし、AIが独自に「家族らしい」と判断しないようにします。発信者番号が登録先と一致していても、端末を別の人が使う可能性があるため、それだけで情報提供を許可しません。
照合できない場合には、相手が述べた連絡先をそのまま信用して詳しい情報を返すのではなく、施設が管理している連絡先への折り返しなど、承認された手順に移します。職員の確認前には、入居しているかどうかを含め、施設が公開を認めていない情報を回答しない設計が適切です。
個人情報保護委員会・厚生労働省の医療・介護ガイダンスは、利用目的、情報提供、安全管理などの考え方を示しています。家族だから一律にすべてを伝えられるという運用にせず、本人の意向や施設の手続きを確認してください。出典:医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス、2026年4月一部改正・2026年10月7日確認
夜勤中の一通を、翌朝まで残さない形で扱う
面会変更の途中で、状態確認の質問が出る例
仮に、夜間に家族から「明日の面会を午後に変えたい。今日の様子も聞きたい」と連絡があったとします。AIは、面会の変更希望と状態確認を二つの用件として記録します。面会台帳へ書き込めない運用なら、変更希望を受け付けた段階であり、変更は未確定だと伝えます。
状態については「いつもどおりです」などの推測で安心させず、担当職員への確認が必要であることを伝えます。家族が急ぎの連絡だと申告した場合や施設が指定した条件に当たる場合は、通常の面会変更とは別の連絡経路へ進めます。医療上の判断をAIだけに任せることはしません。
一次担当、次の担当、受領確認の順を決める
夜勤責任者へ連絡する運用なら、最初に誰へつなぎ、応答がない場合にどこへ進むかをシフトごとに決めます。「夜勤担当」とだけ登録すると、勤務変更のたびに連絡先が古くなるため、当日の担当表を誰が確認するかも必要です。
引き継ぎには、連絡者、対象者、家族照合の状態、本人が述べた用件、折り返し先、面会変更の未確定状態を含めます。職員は受領後に情報を確認し、説明できる範囲で家族へ対応します。対応記録を残して案件を閉じることで、次のシフトが同じ家族に重複して電話することを防ぎます。
誰も応答しない場合の扱いも、開始前に決める
通知が送信されたことと、職員が内容を確認したことは同じではありません。決めた時間内に受領されなければ、次の連絡先へ進むか、別の担当者が確認する一覧に上げます。時間の長さや連絡順位は、施設の人員と既存の緊急連絡体制に合わせて定めます。
ただし、すべての夜間電話で複数の職員を一斉に呼び出すと、ケアを中断する回数が増えます。通常の面会変更は翌日の担当者が扱う、急ぎの連絡は指定の経路で受領を確認する、といった区分が必要です。利用者にも、今受け付けた用件と、職員が回答できる時点を分けて伝えます。
面会のルール変更を、予約と案内に同時に反映する
面会案内は、施設全体の基本ルールに加え、フロアごとの運用や臨時変更が関わることがあります。AIの案内だけを更新して台帳の受付枠を残すと、案内では受け付けない時間に予約希望が入るなどの不整合が生じます。変更の適用日と対象を決め、案内文と受付条件を同時に確認します。
すでに予約した家族への連絡も別作業として残ります。ルールを書き換えたからといって、予約済みの人が知っているとは限りません。誰が対象の予約を抽出し、どの方法で連絡するかまで担当を決めておくと、当日の行き違いを減らせます。
見学・入居相談を同じ番号で受ける場合も、面会とは別の担当先にします。料金、契約条件、個別の受入可否、看取りなどに関する相談は、最新の公開情報の案内と個別説明を分けます。職員による確認なしに、受入れや特別対応を約束しないようにしてください。
職員の負担が増えない記録の作り方
録音だけを渡す運用では、夜勤者が長い会話を聞き直す時間が発生します。要約する場合も、「心配している」という曖昧な表現だけでは行動を決められません。「明日の面会時刻の変更希望」「入居者の今日の状態について職員から説明希望」のように、依頼と未完了の処理を分けて残します。
一方、要約の見出しや広い共有先に状態の詳細を載せる必要はありません。入居者を識別する情報、録音、詳しい相談内容に誰がアクセスできるかを定め、業務用の通知先と閲覧権限を確認します。保存期間を決める際は、録音を消しても文字起こしや別システムの要約が残らないかまで確認してください。
導入試験と継続判断の基準
| 試験する場面 | 確認したい結果 |
|---|---|
| 家族を名乗るが照合できない | 個別情報を回答せず、職員確認へ移る |
| 夜勤の担当者が交代している | 当日の連絡先へ届き、不応答時の次の経路が動く |
| 面会変更と状態相談が混在する | 二つの用件と、それぞれの未完了状態が残る |
| 高齢の家族がゆっくり話す、聞き返す | 急かさず再確認し、難しい場合は人へ移る |
| 通知先が停止する | 未受領を把握し、担当者が代替手段で確認できる |
まず日中の公開案内や面会希望の受付から始め、夜間の取次は担当表と代替経路を確認した後に範囲を広げる方法があります。AIの応答率だけでなく、職員が受け取って完了した件数、翌シフトへの持越し、再入電、確認と折り返しに使った時間を比較します。電話が減ったように見えても、通知の確認が増えていれば運用の修正が必要です。
よくある質問
夜間もAIが対応すれば、当直職員への連絡は不要になりますか?
状態説明や判断が必要な電話は残ります。夜間に受付ができることと、個別の相談が解決することは別です。既存の職員配置や緊急連絡体制を前提に、事務受付と取次を整理するものとして検討してください。
既存の介護記録システムや電話番号は利用できますか?
回線と転送の条件、システムの接続仕様、閲覧権限などの確認が必要です。記録システム全体をAIに参照させることを前提にせず、面会台帳や連絡受付だけで目的を満たせるかも検討します。
Bellへの相談は、何から話せばよいですか?
「面会の電話でケアの手が止まる」「夜間の連絡を翌朝に確認しきれない」など、日々困っている場面からお話しください。面会ルールや家族への情報提供、時間帯ごとの連絡順は、具体的な受付の形を考える中で確認していく内容です。施設の電話対応全体については介護施設のAI電話活用でも紹介しています。
入居者に向き合う時間と、ご家族の相談先を大切に
ケアに集中したい時間にも、ご家族からの大切な電話は届きます。面会の受付と職員への相談を分けながら、どの電話ならBellに任せられそうか、一緒に考えてみませんか。
まだ施設内で導入を決めていなくても構いません。日中の中断や夜勤帯の引き継ぎなど、今いちばん気になることから、Bellへご相談ください。
関連記事
新着記事
タグ

寺下 昇希
Bell 技術責任者
Bellの技術責任者として、AI電話システムの設計・導入・改善に携わっています。現場の電話業務課題を、実務に耐える会話設計とシステム連携で解く知見を発信しています。
- AI電話プロダクトの設計・実装を統括
- 業種別シナリオ設計と運用改善を多数支援